3 気体の物質か
【気体の密度】
アボガドロの法則
分子の存在を考えたアボガドロは,気体について次のような法則を出した。
「すべての気体は,同温,同圧のとき,同体積に同数の分子を含む。」
気体の密度
気体には空気より重い気体と軽い気体がある。空気より重いか軽いかは,空気の密度とその気体の密度を比較すればよい。
気体は,温度,圧力が一定ならば,どの種類の気体でも同体積中に同数の分子が含まれるので,気体の密度(=質量/体積〔g/cm3〕)を比べるときは分子1個あたりの質量で比べることができる。
原子の質量は炭素原子の質量を12として,これを基準に他の原子の質量を比で求めた〔 原子量 〕で表した。分子はいくつかの原子が結合してできた粒子なので,分子の質量はその分子をつくっている原子の原子量の総和で求められる。この値を〔 分子量 〕という。
例)原子量 H=1,C=12,O=16,N=14
H2の分子量 :H原子が2個なので,〔 1×2=2 〕
H2Oの分子量:H原子が2個とO原子が1個なので,〔 1×2+16=18 〕
例題 次の気体について各問いに答えよ。原子量 H=1,C=12,O=16,N=14
① 酸素O2 ② 窒素N2 ③ アンモニアNH3 ④ 二酸化炭素CO2
(1) ①~④の気体の分子量を求めよ。
(2) 空気の分子量を求めよ。ただし,空気は酸素O2が20%,窒素N2が80%の混合気体であるとする。
(3) ①~④の気体の中で,空気よりも軽い気体はどれか。
(1) ①16×2=32 ②14×2=28 ③14+1×3=17 ④12+16×2=44
(2) O2の分子量×0.20+N2の分子量×0.80
32×0.20+28×0.80=28.8
(3) 分子量で比較する。28.8以下のもの。 ②,③
【気体の捕集方法】
発生させた気体を捕集するには,その気体が〔 水 〕に溶けやすいか溶けにくいか, 〔 空気 〕より重いか軽いか,によって次の3つの方法がある。
【いろいろな気体の性質】
酸素O2
空気中の約〔 20 〕%をしめている。無色,無臭で水に溶けにくい。他のものを燃やすはたらき〔 助燃性 〕がある。沸点以下に冷やすと青い液体(液体酸素)になる。液体酸素は磁石にくっつく。
実験室で発生させるには,〔 過酸化水素 〕と〔 二酸化マンガン 〕を混ぜる。
二酸化炭素CO2
無色,無臭で,空気よりも重い。水に少し溶け,水溶液は〔 酸性 〕を示すので,〔 青 〕色リトマス試験紙を〔 赤 〕くする。〔 石灰水 〕に吹き込むと白くにごる。固体は〔 ドライアイス 〕で〔 昇華 〕性をもつ。
実験室で発生させるには,〔 石灰石(炭酸カルシウム) 〕にうすい〔 塩酸 〕を加えると発生する。
水素H2
無色,無臭で,最も軽い気体。水に溶けにくい。〔 酸素 〕と混ぜて点火すると,爆発的に反応して,〔 水 〕になる。
フラスコにアンモニアを捕集し,左下図のような装置にセットした。図のスポイトには水が入っていて,スポイトを押すと水がフラスコに入る。また,水槽にはフェノールフタレインを溶かした水が入っている。この装置のスポイトを押して水をフラスコに入れたら,どうなるか考えてみよう。
水がフラスコ内に入ると,その水にアンモニアが溶ける。フラスコ内は,アンモニアがなくなった分,気圧が下がるので水槽の水を吸い上げる。水槽の水にはフェノールフタレインが入っているので,赤い水がフラスコ内にたまる。(右上)
その他の気体の性質
例題 次の(ア)~(エ)の気体の気体について答えよ。
(ア)二酸化炭素CO2 (イ)水素H2 (ウ)酸素O2 (エ)アンモニアNH3
(1) 気体は,原料となる物質を他の物質と反応させ,分解などさせて発生させることができる。(ア)~(エ)の気体を発生させる方法をそれぞれ①~④から1つずつ選べ。
① 過酸化水素H2O2を二酸化マンガンで分解する。 ② 炭酸カルシウムCaCO3を塩酸で分解する。
③ 塩化アンモニウムNH4Clを水酸化ナトリウムで分解する。 ④ 塩酸HClや硫酸H2SO4を鉄で分解する。
(2) (ア)~(エ)の気体の性質として適当なものをそれぞれ①~⑦からすべて選べ。
① 無色,無臭の気体である。 ② 無色,刺激臭の気体である。 ③ 水溶液は,リトマス試験紙を青から赤に変化させる。
④ 水溶液は,リトマス試験紙を赤から青に変化させる。 ⑤ 石灰水を白濁させる。
⑥ 線香の火を入れると,炎が大きくなる。 ⑦ 酸素と反応させると,爆発的に反応がおこり,水が生成する。
(3) 水上置換で集める気体はどれかすべて答えよ。
(1) (ア) CとOを含んだものを分解する。「炭酸~」の分解。②
(イ) Hを含んだものを分解する。「塩酸」や「硫酸」の分解。④
(ウ) Oを含んだものを分解する。「過酸化水素」の分解。①
(エ) NとHを含んだものを分解する。「~アンモニウム」の分解③
「 」の中身を覚えておくとよい。
(2) (ア) ①,③,⑤ (イ) ①,⑦ (ウ) ①,⑥ (エ) ②,④
(3) 水に溶けにくい気体 (イ),(ウ) (二酸化炭素は水上置換でも可能だが,やや水に溶けるので通常は下方置換)
例題 次の各問いに理由とともに答えよ。
(1) アンモニアNH3を柔らかいペットボトルに入れ,そこに少量の水を入れ,ふたして振るとどうなるか。
(2) メタンCH4を空気中で燃焼するとどうなるか。
(3) 塩素Cl2の入ったびんに赤と青のリトマス試験紙を水に濡らして入れると,リトマス試験紙の色はどうなるか。
(4) 二酸化炭素で膨らましたゴム風船の口をしばり,空中で手をはなすとどうなるか。
(5) スナック菓子などの袋に充填(充満させること)する気体として,適当な気体は何か。
(1) アンモニアは水に溶けやすいので,加えた水に溶ける。気体がなくなった分,ペットボトル内の圧力が下がるので,ペットボトルがつぶれる。
(2) メタンは炭素と水素からできているので燃焼すると,酸素によって分解され二酸化炭素と水に変化する。
(3) 塩素には漂白作用があるので,リトマス試験紙はどちらも白色になる。
(4) 二酸化炭素は空気よりも重いので,風船は下に落ちてくる。
(5) 窒素は安定で他の物質と反応しにくいので,窒素が適当である。